料理やお菓子作りに欠かせない「砂糖」。
私たちの生活に欠かせない反面、
生産地から私たちの食卓にわたるまでの間、
どのくらい環境に負荷を与えているのかご存知でしょうか?
普段あまり意識せずに食している砂糖ですが、
実は砂糖を生産・加工することは、森林破壊や水汚染、
生物多様性を脅すといった様々な問題となっています。
どんな食材においても、私たちが何気なく食べているものが
どのように作られ、環境に影響を与えているのかを知ることは大切なこと。
また知って終わりでなく、そこからできる限り環境に負荷をかけずに
「私たち一人一人にできることはなんなのか」。
自分の健康にやさしいものを選ぶことで、
私たちが暮らす地球の健康を守ることと「=」に結びつくことが
不思議と多いんですよね。
今回は、砂糖がどのような影響を与え、
その問題や私たちにできる選択はなんなのか、
みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
1.日本における国内産砂糖と海外産砂糖の供給量

■国内での輸入割合
・日本国内での砂糖消費:約6割を輸入。
・主要輸入国:オーストラリア / タイ
これらの国から輸入割合は大きく、オーストラリアが86.6%、タイが10.5%と2カ国だけで全輸入量の95%以上を占めます。
2.サトウキビ栽培による環境問題 その① (タイの焼き畑による大気汚染)

タイでは、収穫直前のサトウキビに火を放つ「キビ焼き」と呼ばれる作業が大気汚染問題に。
土壌の養分を高めようとする焼き畑農業とは目的が違い、推奨する1番の大きな理由は「作業の効率化」です。
大気汚染問題を受け、タイ政府は2019年、2022年までに焼き畑の割合を5%以下に抑制する計画を発表し、
タイの砂糖業界は根本的な作業の見直しが迫られているのが現状です。
3.サトウキビ栽培による環境問題 その②(過剰な肥料が海を汚す)

サトウキビ栽培で使用した過剰な肥料により、肥料を含んだ雨水や地下水が海に流れ込んだり、海底から湧き出したことで、
周囲の海が富栄養化し、サンゴが減少・死滅しています。
与論島では、海に肥料が流れ込むのを削減するため、本当に必要な時期にだけサトウキビへ肥料を与える取り組みを始めています。
4.社会に関する問題(児童の強制労働)

世界中で1億5200万人の子どもが学校で教育を受けられず、その内74%が農業の仕事に携わります。
児童労働・強制労働が一番多い作付けは「サトウキビ」と言われています。
5.持続可能性の向上を目指した認証制度

世界自然保護基金(WWF)は、多くの問題や課題があるサトウキビやその関連製品
(砂糖 / バイオエタノール / バイオプラスチックなど)に対して、持続可能性の改善を目的に、
サトウキビ栽培を対象とした「Bonsucro認証」を2005年に開始。
しかし、日本では、Bonsucro認証を取得した製品は現時点ではほぼありません。
6.まとめ

食品や原材料のなかでもシンプルな砂糖。シンプルゆえに
抱えている問題も少ないのではと思っていた方もいると思いますが、知らなかった問題もあるのではないでしょうか?
生きていれば、多かれ少なかれ、環境に負荷はかけるもの。
どんな負担を、どの程度だったら、生活していくうえで許容範囲なのか考えながら、選択していくことが大切です。